開発元 | LightWave Digital |
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最新版 |
2023
/ 2023年11月30日 |
対応OS | Windows, macOS |
種別 | 3DCGソフトウェア |
ライセンス | プロプライエタリ |
公式サイト |
LightWave Digital (英語) LightWave 2020 - 株式会社ディストーム (日本語) |
LightWave(ライトウェーブ)は、英LightWave Digital社が開発及び販売を行う3DCGソフトウェア。略称はLW。日本においてもCM・アニメ・ゲームの制作に使用されており (#著名人物・団体参照)、2017年現在もシェアを持っている[1]。比較的安価なため、趣味で使用する個人ユーザー[注 1]も多い。日本ではディストームが販売している。2023年4月3日、新チームによる開発が表明された[2]。
LightWaveはモデリングからアニメーションまで制作できる統合型の3DCGソフトである。歴史的な経緯により[3]LightWaveはモデリングや材質・テクスチャの設定などを行なう「モデラー」と、モデリングしたデータを配置したり必要に応じてアニメーションを設定したうえでレンダリングを行なう「レイアウト」という2つのソフトで構成されている。
長年に渡りモデラーとレイアウトの統合が計画されているものの(#モデラーとレイアウトの統合計画参照)、2021年現在も未だ分かれたままとなっている。しかしながら、バージョン6からはモデラーとレイアウトを自動で仲介するHUB機能が搭載され、バージョン10からはデータの同期をとるための内部通信機能も実装され、モデラーとレイアウトの連携が進んでおり、既定ではたとえHUBをOFFにしていてもディスク保存によってモデラーとレイアウト間でデータが同期されるようになっている[4]。
インタフェースの特徴としては各種機能にアクセスするためのボタンが全て文字で表現されており、ビューの平行移動・回転・拡大縮小を行なうツールボタンなどの例外を除き、基本的にアイコンは用いられていない。ボタンの配置とキーボードショートカット、メニューの色はユーザーが自由にカスタマイズすることが可能で、使用者によって様変わりする。座標系はXが左右、Yが上下、Zが奥行きを示す。また、右手座標系ではなく左手座標系が採用されている。回転系は長年にわたりオイラー角のHPB方式(垂直軸回転→水平軸回転→奥行き軸回転)[注 2]のみとなっており、ずっとジンバルロック問題[注 3]を抱えていたものの、LightWave 2020で回転順序の変更が可能となり[5]ジンバルロック問題は緩和されている。
ハードウェアではマウスの他にタブレット、3Dマウスにも対応し、バージョン11からはPlayStation Moveにも対応しているが、グローブインターフェイス、ヘッドマウントディスプレイ等には対応していない。
今もって3DCGソフトにはPhotoshopのようなデファクトスタンダードが存在しないが、LightWave 5.5が世に出た頃は今にもまして混沌としており、大抵のソフトが「難解」「非直感的」と評される状態にあって「粘土をこねるように直感的にモデリングできる」と評された同ソフトが、他の3DCGソフトのインタフェースに与えた影響は大きい。
もともとはAmiga用のVideo Toasterという動画編集用のハードウエアにバンドルされていた3D CG処理ソフトで、スチュアート・ファーガソンがモデラーを、アレン・ヘイスティングスがレイアウトを担当する形で開発された。バージョン4まではAmigaプラットフォームにのみ提供されていたが、コモドール社の倒産に伴いバージョン5ではWindows 95 / 98、Windows NT(x86版およびDEC Alpha版)、Macintosh、SGI IRIX、SparcStationなど多様なプラットフォームに提供。しかしその後はSGI IRIX版もバージョン6.5を最後に開発が打ち切られ、バージョン7以降はWindowsとMacintoshの2プラットフォームにのみ提供されている。
プレイステーションの市販開発キット「ネットやろうぜ!」にはバージョン4.0が付属していた。SonyのVAIOにLightWave 3D express for VAIOとしてバンドルされていた事もある。
販売やサポートは継続されているものの、LightWaveのメジャーアップデートは2020で開発終了。しかし、Vizrt GroupがLightWaveをLightWave Digitalに売却、開発が再開される事になる。取引は2023年4月27日に終了し、Andrew Bishop氏とその専門家チームであるLightWave Digitalに引き渡された。所有権の移転に伴い、既存のライセンス保持者に変化はなく、技術サポートも継続、現在の再販業者も継承される。新バージョンのLightWave 2023は2023年第四半期にリリース予定。
LightWaveは前述の通りモデラーとレイアウトに分かれているため、過去何度も両者の統合が計画されている。
2001年にはNewTek 3D開発部の副部長であったBrad Peeblerと一部の社員がLightWaveの書き直しを望み、NewTek上層部経営陣の反対に会って独立、Luxologyを立ち上げ[10]2004年にmodoをリリースした。
一方Newtekは2005年にElectric Image Animation System (EIAS)の創設者であるJay RothとMark Grangerを雇入れ、Jay RothをNewTekの3D部門のトップとし[11][12]、2009年に次世代LightWaveとなる「LightWave CORE」を発表した[13]ものの、その後、2010年5月にはRob Powersを雇入れて新たなLightWave開発の責任者とし[14]、2011年リリースのLightWave 10では開発されたLightWave COREの技術が既存のモデラーソフト及びレイアウトソフトに組み込まれるのみとなった[14][15]。
それでもRob Powersは最終的にモデラーとレイアウトを統合すると表明しており[16]、2012年に発足したLightWave 3D Groupでもトップとして就任したRob Powers[17]は、古いアーキテクチャを残したまま新しいアーキテクチャを開発するという「BorgQueen」の開発哲学を用いたLightWaveの内部コードの書き換えを進め[18][19]、「LightWave Next」として開発され2018年にリリースされたLightWave 2018ではモデラーソフトとレイアウトソフトの両方に同一の統合メッシュシステムが搭載された[20]。これによってレイアウト側でも編集可能なジオメトリが扱えるようになり[19]、次いでLightWave 2019ではレイアウト側でスカルプトやウェイトペイントを行うMetamorphicが搭載されるようになった[7]ものの、2021年現在、未だモデラーとレイアウトは分かれたままとなっている。
LightWave 2018でレンダラーが書き直され物理ベースのレンダリングシステムが搭載された[21]もののGPUレンダリング未対応となっており、GPUレンダリングにはOtoy製のOctaneRenderが必要となる。非写実的レンダリングでは交差エッジに対応したエッジレンダリングを備えているほか、トゥーンレンダリングのCel Integratorを持っている。
3Dペイントに対応しておらず、3DペイントにはSubstance Painterなどの外部の3Dペイントソフトが必要となる。
また、ケージ変形、スカルプトを標準で備えておらず、それらには3rd Powers製のプラグインが必要となる。本体にそれらのプラグインを同梱したLightWave + 3rd Powers Full Plugin Suiteが販売されている[22]。
群集シミュレーションでは、Ver11.0にてフロッキング(群集)シミュレーターが実装され、動物、魚、昆虫などの群れ、更には飛行機や宇宙船の集団といった、通常複雑かつ膨大なデータ量を必要とするシーンを簡単に作成することができるようになった。Ver11.5からは簡単なAIが実装された。
他3DCGソフトに比べ弱い点も存在するが、プロの使用にも耐える3DCGソフトの中では随一のコストパフォーマンスを誇っている。
当初から先進的なプラグイン・アーキテクチャを採用しており、ソフトウェア本体は単なるプラグインサーバに過ぎず、基本的なコア機能もプラグイン機構を通じて実装されている。
また、その仕様もオープンにされていたため、大量のサードパーティー製・個人製プラグインが製作された。プラグイン・アーキテクチャの利点のひとつはそのフットワークの軽さであり、3DCGの先進のトピックが、他の高額なハイエンドソフトウェアを差し置いていち早くLightWave上で実現されることさえあった。そして標準の機能の不便さを、開発元の対応を待たずに私製プラグインで補うことも盛んに行われ、その成果はたびたび広く公開されていた。
また、一般のCコンパイラ等で構築するプラグインの他にも、インタプリタとして3DCGソフトウェアで標準的に使われているPythonスクリプトを備えている。
なお、独自のスクリプト言語であるLScriptも搭載されているが、LightWave 2020で非推奨となった[23]。LScriptは元々POV-Rayレンダラーのアニメーションのために開発されたものの統合されず[23]、LightWaveがPCに移植される際にAmigaOSの標準スクリプト言語の代わりとして転用され、その後、長年搭載され続けてきた[23]。