『GUITARHYTHM II』 | |||||
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布袋寅泰 の スタジオ・アルバム | |||||
リリース | |||||
録音 |
メトロポリス・スタジオ(ロンドン) セディック・スタジオ(東京) ヒット・ファクトリー・スタジオ(ロンドン) | ||||
ジャンル |
ロック デジタル・ロック プログレッシブ・ロック アートロック | ||||
時間 | |||||
レーベル | 東芝EMI/イーストワールド | ||||
プロデュース |
布袋寅泰 藤井丈司 | ||||
チャート最高順位 | |||||
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布袋寅泰 アルバム 年表 | |||||
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布袋寅泰関連のアルバム 年表 | |||||
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『GUITARHYTHM II』収録のシングル | |||||
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COMPLEXの無期限活動休止後のソロ復帰アルバム。
BOØWYやCOMPLEXの音楽性とは大きく異なり、重厚なサウンドで構築されている。『GUITARHYTHM』が海外進出を志した作品だったのに対し、本作は日本のロック・ファンの為のアルバムとして制作されており、歌詞もカヴァー曲を除き日本語である。この方向性は前年の時点ですでに決めており、COMPLEXの活動休止を発表した直後のインタビューで述べている[1]。
本作の楽曲制作及びレコーディングをするに当たり、単身渡英。COMPLEXのラストライブ翌日には渡英する飛行機に乗っていたという[2]。ロンドン市内にフラットを借りて生活を始め、全楽曲のデモを1ヶ月で完成させた。リリース後には、ソロキャリアでは初となる全国ツアーも行われた。
コンセプトは『時空を超えた魂の旅』で、「BEAT EMOTIONによって解き放たれた魂が時空を自由に飛びまわり、綺麗なもの、哀しいものなどを見たりしながら傷つきながら彷徨い、最後に火星からきたスターマンに拾い上げられ天に昇っていく」といったシナリオとなっている。"天使と悪魔"もキーワードとなっており、歌詞に幾度も登場する[3]。また本作のレコーディング中に湾岸戦争が勃発しており[4]、このことが一部の楽曲に影響を及ぼしている[2]。
本作の「SLOW MOTION」より森雪之丞が初めて布袋に詞を提供しており、これを機に森は以後布袋作品の作詞を数多く手掛けることになる。
後年テレビ番組上でデヴィッド・ボウイと対談した際には、『I』『II』『III』を聴き比べたボウイに「IとIIの違いは大きい。スタイル的にかなり大きく変わった。Iはずっと原始的だったけど、IIは使っているコードも違うし、曲の作りがものすごく変わった」と評されている。これに対し布袋は「一番大きな理由はバンドを組んだこと(ライブのサポートメンバーを固定した)。Iは僕がギターとコンピュータだけで作ったものだけど、このアルバムでは色んなミュージシャンに参加してもらったから」と語っている[5]。
またインタビューでは「このアルバムを完成させたことで、今後自分だけでやっていくことに対して自信がついた。ギター弾きだからいつも誰かとセッションできるスタンスでいたかったけど、もう人とやっていくつもりはないかな」とソロ活動への自信と意欲を語っている。
オリコンアルバムチャート上にて1位を獲得したが、アルバム及びツアーでのファンの反応が100パーセント満足のいくものではなかったと布袋は語っている[6][7]。一方、初のソロツアーを経験したことで確固たる自信もついたと述べており[8]、これらの経験を踏まえ、以降さらにライブを意識した音楽性へと変化を遂げていくことになる。
『GUITARHYTHM II』の構想については1990年秋の段階で既にジーザス・ジョーンズのような音楽性で、との方針が布袋によって示されていた[9]。アルバム制作は1991年1月下旬から2月末までの間の、曲作りとプリプロダクションによって始まった[10]。曲作りは1日1曲のハイペースで進み、アルバムは2枚組で制作されることになった[11]。布袋はレッド・ツェッペリンの『フィジカル・グラフィティ』とプリンスの『サイン・オブ・ザ・タイムス』、スティーヴィー・ワンダーの『シークレット・ライフ・オブ・プラント』といった2枚組の名盤を足して3で割ったようなアルバムを考えていたとしている[12]。共同プロデューサーの藤井丈司は、布袋からアルバムが2枚組になることを聞かされた時に、布袋が自身の持つ音楽感・アート感のようなものを全て出そうとしていると思った、と語っている[10]。
3月初頭から後半にはリズム録りとオーバー・ダビングが行われた[10]。レコーディングは発電所を改築したというロンドンのメトロポリス・スタジオにてレコーディングされた。このスタジオは後の作品でも度々レコーディングに使用されている。余談だが、本作のレコーディングスタジオの候補としてデイヴ・スチュワートが所有するチャーチ・スタジオも挙がっていた[2]。レコーディングは布袋、藤井、エンジニアのマイケル・ツィマリングの3人で24トラックのアナログ機材を用いて制作[10]。4月初頭からレコーディングとトラックダウン、オーケストラ・レコーディングが6月中旬まで続けられ、アルバムは完成した[10]。布袋は『GUITARHYTHM II』の制作においては特に藤井の功績が大きかったとしており、本アルバムの35パーセントは藤井が作ったとも語っている[13]。
湾岸戦争の影響により一時帰国した関係で、一部の作業は都内のスタジオで行われた。
主な機材はソルダーノのプリアンプ「X-88R」、VHTの「2150パワーアンプ」、マーシャルのスピーカー・キャビネットといったラインナップである[14]。
1991年8月30日に5000枚限定で4枚組LPレコード盤がコンパクトディスク、カセットテープより1ヶ月先行リリースされている。
通常版リリース前の1991年9月5日には、当時布袋がパーソナリティを担当していた『ミュージックスクエア』で「GUITARHYTHM NIGHT」と題して特別プログラムが放送され、『GUITARHYTHM』から3曲、UKリリースの12インチシングル『DANCING WITH THE MOONLIGHT』から全4曲、『GUITARHYTHM II』からの12曲とデモテープ版の「RADIO! RADIO! RADIO!」の計20曲が紹介された[15]。
その後、1991年9月27日に東芝EMIのイーストワールドレーベルよりコンパクトディスク2枚組、カセットテープ2本組の2形態でリリースされた。初回版はベルベットボックス仕様、ピクチャーCDとなっている。また、購入時にくじ引きによってロゴマーク入りのメモ用紙やファイルケースなどが配布されていた。
先行発売されたLPレコード版には、1988年にイギリスでリリースした「DANCING WITH THE MOONLIGHT」のシングル・バージョンや、同年に行われた「GUITARHYTHM LIVE」の楽曲が収録されている。
『GUITARHYTHM』に引き続き、アートディレクションを永石勝が務めた。56ページのヴィジュアル・ブックレットには各楽曲をイメージしたフォトグラフやイラストが掲載されている。
永石に本作を渡しアートワークのイメージを伝えた際、「何曲あるの?これ(笑)」というやり取りがあったとのこと。
本作の発売前、1991年8月6日に富士急ハイランドのムーンサルト・スクランブル前において、『GUITARHYTHM REPRISE』と題された野外ライブを開催。あいにくの雨に見舞われたが、『GUITARHYTHM』収録曲やBOØWY時代の曲、ゲストボーカルに妻(当時)の山下久美子を迎えての曲のほか、本作からも数曲が先行して演奏された。
本作を受けてのツアーは、『GUITARHYTHM ACTIVE FLY INTO YOUR DREAM』と題し、1991年9月30日の群馬県民会館を皮切りに、23都市全33公演が行われている。12月2日には海外公演としてロンドンにあるTOWN&COUNTRY CLUBでの公演も行っている[16]。この公演の打ち上げにて、布袋が当時高く評価していたジーザス・ジョーンズのマイク・エドワーズとの知遇を得ており、次作『GUITARHYTHM III』にて共演するなど、以後長年に渡って交流が続いていくことになる。ツアーファイナルには日本武道館公演4DAYSを実現。後にこのツアーの模様がライブ・アルバム『GUITARHYTHM active tour '91-'92』(1992年)と、ライブ・ビデオ『GUITARHYTHM active tour '91-'92』(1992年)としてリリースされている。
布袋の実妹である狩野環がボーカルを務めるガラパゴスがオープニングアクトとしてツアーに帯同した。なお、前述の『GUITARHYTHM REPRISE』において、狩野はコーラスで参加している。
『GUITARHYTHM REPRISE』でサポートを務めた成田忍、浅田孟、椎野恭一、小森茂生、藤井丈司は以後バンドメンバーとして固定され、1994年の『GUITARHYTHM SERIOUS! CLIMAX ARENA TOUR』まで同行していくことになる[17][18]。 なお、成田は布袋がBOØWY時代後期に使用したオリジナルギター「MV-95HT」のアーム搭載モデルをツアーで使用しており、ライブ・ビデオでも確認できる。
前述の通り、ソロキャリア初の全国ツアーを経験したことが今後の作品に大きく反映されることとなる。
本作のリリース後に布袋はBOØWY解散以来初めて氷室京介と直接会話を交わしている。氷室の『OVER SOUL MATRIX TOUR 1991』大阪公演の楽屋を布袋が訪ねて行くと氷室は「聴いたよ」と答え、感想として「なげーよ」とコメントしたという。「いいけど長い」「長いのつくりたかったんだからいいんじゃない?」と氷室は答え、率直な感想をもらえたとして布袋は嬉しかったとコメントしている[19]。
# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 時間 |
---|---|---|---|---|---|
1. | 「GUITARHYTHM REPRISE」 | ハービー・山口・Lenny Zakatek | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
2. | 「BEAT EMOTION (Album Verson)」 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
3. | 「PRISONER」 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
4. | 「SLOW MOTION」 | 森雪之丞 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
5. | 「SPHINX」 | 森雪之丞 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
6. | 「MERMAID'S DREAM」 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | ||
7. | 「PARADISE」 | 布袋寅泰・森雪之丞 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
8. | 「DEVIL'S SUGAR」 | 森雪之丞 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
9. | 「DRIVIN' TO YOUR HEART TONIGHT」 | 森雪之丞 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
10. | 「ANGEL WALTZ」 | 森雪之丞 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰・門倉聡 | |
11. | 「YOU」 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
12. | 「GUITAR LOVES YOU」 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | ||
合計時間: |
# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 時間 |
---|---|---|---|---|---|
1. | 「ROCK'N'ROSE」 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
2. | 「MAN+WOMAN IN LOVE」 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
3. | 「LIBIDO」 | 森雪之丞 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
4. | 「FLY INTO YOUR DREAM」 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
5. | 「WONDERLAND」 | 布袋寅泰 | NIELS WALEM | ||
6. | 「METROPOLIS」 | 布袋寅泰・藤井丈司 | 布袋寅泰・藤井丈司 | ||
7. | 「MERRY-GO-ROUND」 | 森雪之丞 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
8. | 「TELEPHONE CALL」 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
9. | 「RADIO! RADIO! RADIO! (RE-MIX)」 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
10. | 「NOT FOR SALE」 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
11. | 「CITY LIGHTS」 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
12. | 「STARMAN」 | David Bowie | David Bowie | 布袋寅泰 | |
合計時間: |
# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 時間 |
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1. | 「GUITARHYTHM REPRISE」 | ハービー・山口、Lenny Zakatek | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
2. | 「BEAT EMOTION (Album Verson)」 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
3. | 「PRISONER」 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
4. | 「SLOW MOTION」 | 森雪之丞 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 |
# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 時間 |
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5. | 「SPHINX」 | 森雪之丞 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
6. | 「MERMAID'S DREAM」 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | ||
7. | 「PARADISE」 | 布袋寅泰・森雪之丞 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
8. | 「DEVIL'S SUGAR」 | 森雪之丞 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 |
# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 時間 |
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1. | 「DRIVIN' TO YOUR HEART TONIGHT」 | 森雪之丞 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
2. | 「ANGEL WALTZ」 | 森雪之丞 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰・門倉聡 | |
3. | 「YOU」 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
4. | 「GUITAR LOVES YOU」 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 |
# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 時間 |
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5. | 「ROCK'N'ROSE」 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
6. | 「MAN+WOMAN IN LOVE」 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
7. | 「LIBIDO」 | 森雪之丞 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
8. | 「FLY INTO YOUR DREAM」 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 |
# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 時間 |
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1. | 「WONDERLAND」 | 布袋寅泰 | NIELS WALEM | ||
2. | 「METROPOLIS」 | 布袋寅泰・藤井丈司 | 布袋寅泰・藤井丈司 | ||
3. | 「MERRY-GO-ROUND」 | 森雪之丞 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
4. | 「TELEPHONE CALL」 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 |
# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 時間 |
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5. | 「RADIO! RADIO! RADIO!(RE-MIX) 」 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
6. | 「NOT FOR SALE」 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
7. | 「CITY LIGHTS」 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
8. | 「STARMAN」 | David Bowie | David Bowie | 布袋寅泰 |
# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 |
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1. | 「DANCING WITH THE MOONLIGHT (12 inch version)」 | ハービー山口・Lenny Zakatek | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 |
# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 |
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2. | 「LEGEND OF FUTURE」 | Geoffrey Westley | Geoffrey Westley | |
3. | 「POWER (live)」 | 布袋寅泰 | 布袋寅泰 | |
4. | 「C'MON EVERYBODY (live)」 | Eddie Cochran・Jerry Capehart | Eddie Cochran・Jerry Capehart | 布袋寅泰 |
GUITARHYTHM REPRISE
BEAT EMOTION PRISONER
SLOW MOTION
SPHINX
MERMAID'S DREAM
PARADISE
DEVIL'S SUGAR
DRIVIN' TO YOUR HEART TONIGHT
ANGEL WALTZ
YOU
GUITAR LOVES YOU
|
ROCK'N'ROSE
MAN+WOMAN IN LOVE
LIBIDO
FLY INTO YOUR DREAM
WONDERLAND METROPOLIS
MERRY-GO-ROUND
TELEPHONE CALL
RADIO! RADIO! RADIO! (RE-MIX)
NOT FOR SALE
CITY LIGHTS
STARMAN
|
No. | 日付 | レーベル | 規格 | 規格品番 | 最高順位 | 備考 |
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1 | 1991年8月30日 | 東芝EMI/イーストワールド | LP | TOJT-6280〜3 | 80位 | 4枚組、LPのみのボーナストラック4曲収録 |
2 | 1991年9月27日 | 東芝EMI/イーストワールド | CD CT |
TOCT-6280〜1 TOTT-6280〜1 |
1位 | 初回限定ベルベットボックス仕様 |
3 | 2000年12月13日 | 東芝EMI/アストロノーツスター | CD | AJCH-30002〜3 | - | デジタルリマスタリング盤 |
4 | 2008年12月24日 | EMIミュージック・ジャパン/ヴァージン | SHM-CD | TOCT-95002〜3 | 52位 | 2000年デジタルリマスタリング盤、紙ジャケット仕様、『GUITARHYTHM BOX』でのリリース |