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![]() Ubuntu Studio 23.04 "Lunar Lobster" | |
開発者 | Ubuntu Studio Project |
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OSの系統 | Unix系, Linux, Ubuntu |
開発状況 | 開発中 |
ソースモデル | FLOSS |
最新安定版 | 23.04 (Lunar Lobster)[1] / 2023年4月20日 |
使用できる言語 | 英語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語 |
パッケージ管理 | Advanced Packaging Tool (APT) |
プラットフォーム | IA-32, x64 |
カーネル種別 | モノリシックカーネル(リアルタイムカーネル) |
既定のUI | Xfce KDE |
ライセンス | GPLおよびその他のライセンス |
ウェブサイト | ubuntustudio.org |
Ubuntu Studio(ウブントゥ・スタジオ、ウブンツ・スタジオ)は、Ubuntuから派生したLinuxディストリビューションである。マルチメディア編集環境に特化している。オリジナルバージョンはUbuntu 7.04をベースにして、2007年5月10日にリリースされた。
以前のデスクトップ環境はGNOMEであったが、派生元の環境が変更された事によりXfceを標準として採用していた。Ubuntu Studio 20.10からはKDE Plasma5がデスクトップ環境として採用された。[2]
コンテンツクリエイター向けにマルチメディア関連の機能が大幅に強化されている。従って、伝統的にはソフトウェア開発機/サーバ構築に用いられてきたUnix系オペレーティングシステム (OS) としては、極めて特殊な位置付けとなっている。
先述のとおり、Ubuntu Studioはマルチメディア(音楽・映像・画像)編集に特化しており、そのためのソフトウェアを多数、標準でインストールする。また、実行遅延(レイテンシ)を低減する設定が行われており、それらソフトウェアが即時処理(リアルタイム処理)を行うことを可能としている。派生元のUbuntuとは、割り込み発生回数を毎秒1000回に増やしたlow-latencyカーネルを採用することにより、音声再生の遅延を低減している点で大きく異なっている。
テーマについては独自のアートワークに基づき、青と黒で構成されたものを用いている。
Ubuntuに直接の支援を受けているプロジェクトであり[3]、マルチメディア編集環境に関するフィードバックを行うことで貢献している。Ubuntuとは標準でインストールされるパッケージの種類やシステム設定が多少異なるのみで、ベースシステムは同じである。
Ubuntu Studioは、ISOイメージファイルの形で提供されている。
使用者はまず、ダウンロードしたこのファイルからブート可能なディスクを作成し、そのディスクからコンピュータを起動してインストール作業に入る。インストール作業は、画面に表示されたメッセージに従ってキーボードで操作を行うことで進行する。Ubuntu StudioのISOイメージファイルのサイズは1GB以上であり、標準的なCD-ROMの記憶容量を超えている。そのため、ブート可能なディスクはDVD、もしくはUSBやネットワークで起動するディスクに作成する必要がある。
Ubuntu Studioの必要なシステム条件は以下の通りである。[4]
必要なシステム要件 | 最低条件 | 推奨条件 |
---|---|---|
CPU | Intel Core 2 Duo 同等 | Intel Core i5 同等、それ以上 |
RAM | 2GB | 8GB |
ディスク容量 | 16GB | 64GB |
既にUbuntuをインストールしてあれば、インターネット経由でパッケージ「ubuntustudio-desktop」といったパッケージを導入することでもインストールできる。
実行遅延(レイテンシ)とは、デバイスからの入力信号をコンピュータが処理し、その処理結果を帰すまでの遅延時間のことである。コンピュータのハードウェアとしての制約がその原因であり、どれほど高性能なコンピュータだろうが、どのようなデバイスを用いた操作だろうが、大なり小なりレイテンシは発生する。
製作環境においては、例えばMIDIキーボードを押して発信した信号が音声として出力されるまでの遅延時間や、ペンタブレットによる入力が画面に描画されるまでの遅延時間がこれに該当する。実行遅延の大小は製作者のパフォーマンスに直接影響するため、可能な限り短いのが望ましい。
サウンド処理に限定すると、実行遅延の短縮は、WindowsではASIOドライバ、macOSではCore Audioドライバ(Mac OS 9以前はSound Manager)などで実現している。
ではLinuxの場合はというと、カーネルがドライバを含む構造(モノリシックカーネル)となっているため、カーネル周りを調整することで対策している。具体的には以下である。
これらの設定はオーディオに限らずシステム全体に影響するため、多様な製作目的に合致したシステムを構築することが可能である。
リアルタイム・カーネルとは、通常のLinuxカーネルにCONFIG_PREEMPT_RTパッチを適用して、リアルタイムオペレーティングシステムとしての性能を発揮させたものである。入力信号を素早く処理することが可能となっている。そこに着目したUbuntu Studioプロジェクトチームは、リアルタイム・カーネルのパッケージをUbuntuリポジトリに提供してきた。リアルタイム・カーネルの提供は、Ubuntu Studioの最初のリリースである7.04ではなく、バージョン8.04から始まり、続く8.10ではパッチのバグなどの事情により提供が見送られたものの、9.04と9.10にて再び提供が開始された。しかしメンテンナンスの負担などの事情により、10.04以降から再び提供が中断している。
この間、CONFIG_PREEMPT_RTパッチの成果の多くがLinuxカーネルのメインラインにマージされつつあり、リアルタイムパッチを適用しなくても十分なパフォーマンスを得られるようになってきている。[8]
これを受けてUbuntu Studioコミュニティでは、Ubuntuの標準カーネルの設定を変更しただけのlowlatencyカーネルの提供を計画している。[9]すでに11.04向けlowlatencyカーネルのパッケージが開発者のPPAから提供され、テストが重ねられている。[10]
ベースシステムはUbuntuと同じもののため、Ubuntuで構築出来る日本語環境はUbuntu Studioでも利用できる。
Ubuntu Studioはオープンソース・コミュニティに基づいているため、デバイスドライバも有志によって作成される。そのため、発売されたばかりのデバイスは使えない場合が多い。また、それとは別にメーカーが独自にLinux用のドライバを提供しているデバイスもある。
ハードウェアは特に音楽編集において使用頻度が高い。Ubuntu StudioではMIDIインターフェイスやMIDIコントローラ、オーディオ・インターフェイスを含め、さまざまなサウンドデバイスを使うことができる。
これらサウンドデバイスのうち、PCIバス接続やPCI Expressバス接続のサウンドカード、マザーボード付属のサウンドデバイス、USB接続のオーディオ・インターフェイスはALSAがドライバとなり、IEEE 1394 (FireWire) 接続のオーディオ・インターフェイスはFFADO(旧freeBoB)がドライバとなる。ALSAやFFADOのウェブサイトにおいて、対応しているサウンドデバイスの一覧を公開している。
接続方法 | 特徴 | ドライバ | JACKのDriver | 対応機種確認 |
---|---|---|---|---|
USBやPCI/PCI-E | JACK経由しなくても音声入出力可 | ALSA | alsa | ALSA SoundCard Matrix@alsa-project.org |
IEEE 1394 (FireWire) | JACK経由で音声入出力可 | FFADO | firewire (旧freebob) |
Device support database@ffado.org |
すべてのMIDIを扱うソフトウェア/ハードウェアは、ALSAシーケンサ機能あるいはJACKシーケンサ機能にMIDIポートを開くように設定される。ポート間を接続/切断するユーティリティも標準でインストールされている。
映像編集では、デジタルビデオカメラをIEEE 1394 (i.LINK) やUSBで接続し、ソフトウェア経由でデータを保存する、USBで接続したWebカメラからの映像をソフトウェアを使って撮影するといった使い方も可能である。
ペンタブレットに関しては、The Linux Wacom Projectが株式会社ワコム社のデバイスに対するLinuxドライバを開発しているため、FAVO、Bamboo、Intuosシリーズの多くを利用することができる。また、Waltop社のチップを含む製品(日本国内では株式会社プリンストンが販売)はWaltop社がLinux用ドライバを提供しているほか、有志によるドライバ(Wizardpen graphics pad driver)でも動作可能である。日本では流通していないが、ACE CAD社やAiptek社、Genius, KYE Systems社のペンタブレット用のドライバも提供されている。
Ubuntu Studioは、マルチメディア編集を目的としたソフトウェアを多数、標準でインストールする。
11.04より、標準でインストールされるソフトウェアの選別にユーザの声を反映する取り組みが開始された。[11] その結果、報告されなかったフォント編集やDTP関連を中心に、いくつかのソフトウェアが標準構成から外されることとなった。この取り組みは今後も続けられる方針であり、ユーザからの活発な報告を期待されている。[12]
以下に、Ubuntu Studio 11.04に標準でインストールされるマルチメディア編集目的のソフトウェアを列挙する。これら以外にも、Ubuntuにおいて標準でインストールされるソフトウェアをインストールすることが可能である。
ソフトウェアの性質上、標準パッケージもバグを含んでいる可能性がある。そのようなパッケージも、有志がLaunchpadのPPA (Personal Package Archive) で更新版を配布している場合は、そちらを利用することができる。
音楽編集ソフトウェアは、JACKサウンドサーバによりその大部分が実装されている。また、標準で各種LADSPA (Linux Audio Developer's Simple Plugin API) プラグインやDSSI (Disposable Soft Synth Interface) プラグイン、LV2 (LADSPA Version 2) プラグインを利用することができる。VSTやVSTiといったWindows向けのプラグインに関しては、WineとFeSTigeを併用することで利用可能な場合がある。
利用者はJACK ControlでJACKサウンドサーバをスタートした後、ArdourといったJACK対応ソフトウェアを起動、Patchageなどの接続ユーティリティを利用してハードウェア/ソフトウェア間を適切に接続することで、音楽処理環境を構築する。
(デジタル・オーディオ・ワークステーション、シーケンサ)
(ソフトウェアシンセサイザ)
(JACKサウンドサーバ関連ソフトウェア)
(デバイス関連のソフトウェア)
(プラグイン関連のソフトウェア)
(その他)
(以下は、追加でインストール可能)
動画編集ソフトウェアは、動画関連技術に関して権利関係が完全にフリーなソフトウェアを開発するのが難しいこと、映像と音声を扱うためパッケージサイズが巨大になる傾向にあることなどが影響し、標準でインストールされるパッケージは少ない。しかし手動でインストールすることで、多種多様なソフトウェアを利用することができる。
(以下は、追加でインストール可能)
欧文を中心に、権利関係がフリーなフォントを多数追加している。GIMPに対しては、ブラシやパレット、グラデーション・テンプレート、RAW画像現像などの拡張機能が標準でインストールされる。
(デバイス関連のソフトウェア)
(以下は、追加でインストール可能)