Scala
Scala
Scalaのロゴ
パラダイム オブジェクト指向言語関数型言語
登場時期 2003年 (2003)
設計者 Martin Odersky
開発者 LAMP/EPFL, Scala Center
最新リリース 3.4.0 / 2024年2月29日[1]
型付け 強い静的型付け
主な処理系 Scala
影響を受けた言語 Java, Haskell, Standard ML, OCaml, Smalltalk, Erlang
影響を与えた言語 Java, Chisel, F#, Kotlin, Flix
プラットフォーム Linux, Windows, Mac, JVM, JavaScript, Android
ライセンス Apache 2.0[2]
ウェブサイト The Scala Programming Language
拡張子 .scala
テンプレートを表示

カテゴリ / テンプレート

Scala(スカラ、SKAH-lah[3])はオブジェクト指向言語関数型言語の特徴を統合したマルチパラダイムのプログラミング言語である。名前の「Scala」は英語の「scalable language」に由来するものである。

プラットフォーム

主にJavaプラットフォームJava仮想マシン)上で動作し、既存のJavaのプログラムと容易に連携させることができる。

対応プラットフォーム

また、過去には下記のプラットフォームもサポートしていたが、現在は開発が中断している。

歴史

Scalaは2001年にスイス・ローザンヌにあるスイス連邦工科大学 (EPFL) 教授のマーティン・オーダスキー英語版によって設計された。マーティン・オーダスキーはFunnelという、関数型プログラミングとペトリネットとを合わせたプログラミング言語の開発に携わっていた。オーダスキーは過去にJavaの総称型(ジェネリクス)とjavacの開発に携わった事があった。

Scalaは2003年の暮れに内部で公開された後、2004年の始めにJavaのプラットフォームにリリースされ、2004年の6月に.NETのプラットフォームに公開された。Ver2.0は2006年3月にリリースされたが、.NETのサポートは2012年に中止になった。

2021年5月12日、コードネームdottyと呼ばれていたコンパイラを抜本的に再設計して作られたScala 3がリリースされ、多くの機能が追加された。[7]

また、現在も活発に開発が続けられている。

特徴

主に以下のような特徴がある。

Scala 3の新機能

「文字列の中に'a'という文字が存在するか判定する」という例を挙げる。

手続き型言語的なコードを書くと以下のようになる。

def hasLowerCaseA(s: String): Boolean = {
  for (i <- 0 until s.length) {
    if (s(i) == 'a') return true
  }
  return false
}

上のコードは、添え字を使わずに、次のように書くことができる。

def hasLowerCaseA(s: String): Boolean = {
  for (c <- s) {
    if (c == 'a') return true
  }
  return false
}

上のコードは、トレイトscala.collection.Traversableを使って、次のように書くことができる。

def hasLowerCaseA(s: String) = s.exists(_ == 'a')

典型的な関数型言語では再帰をよく使う。再帰に置き換えると以下のようになる。

def hasLowerCaseA(s: String, i: Int = 0): Boolean = {
  if (i == s.length) return false
  if (s(i) == 'a') return true
  return hasLowerCaseA(s, i + 1)
}

部分関数

Scalaの部分関数 (partial function) は数学における同名の概念をもとにして生まれた機能である。具体的には、定義域が制限された関数に相当する。以下は [-1, +1] の範囲で2乗を計算する部分関数の例である。

val myPartialSquare: PartialFunction[Double, Double] = {
  case x if -1 <= x && x <= 1 => x * x
}

println(myPartialSquare(-0.5)) // 0.25
println(myPartialSquare(0.9)) // 0.81
println(myPartialSquare.isDefinedAt(1)) // true
println(myPartialSquare.isDefinedAt(-10)) // false
println(myPartialSquare(1.1)) // MatchError

Scala開発の動機

Martin Oderskyによると、Scala開発の動機は2つの仮説による。

  1. 汎用言語はスケーラブルでなくてはならない。同じ概念で、小さいプログラムも大きなプログラムも記述できるべきである。
  2. スケーラビリティ関数型言語オブジェクト指向言語の2つのプログラミングの概念を統合し、一般化することにより実現できる。

利用例

TwitterがバックエンドをRubyからScalaに2009年に移行した[8]のを初め、大型のソフトウェアでの利用例がいくつか存在する。

統合開発環境

以下の統合開発環境が Scala をサポートしている。括弧内の数字は 2019 Scala Developer Survey での複数回答ありでの利用している人の割合[12]

Scala をベースにしたプログラミング環境として Kojo がある。

ビルドツール

Apache MavenGradle などの Java 汎用のビルドツールも利用可能だが、Scala 向けのビルドツールとして以下の物がある。括弧内の数字は 2019 Scala Developer Survey での複数回答ありでの利用している人の割合[12]

Webアプリケーションフレームワーク

Scala 用の主なWebアプリケーションフレームワークとして以下の物がある。

脚注

  1. ^ 出典URL: https://github.com/scala/scala3/releases/tag/3.4.0, 題名: Scala 3.4.0
  2. ^ dotty/LICENSE at release-3.0.0 · lampepfl/dotty
  3. ^ Scala: Martin Odersky, Scala -- the Simple Parts
  4. ^ Scala.js
  5. ^ Scala Native — Scala Native documentation
  6. ^ A Brief History of Scala
  7. ^ [1]
  8. ^ The Secret Behind Twitter's Growth
  9. ^ Scala, Lift, and the Future
  10. ^ Announces General Availability of SynapseML
  11. ^ Woof, a pure Scala 3 logging library
  12. ^ a b 2019 Scala Developer Survey

関連項目

外部リンク