A.I. | |
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A.I. Artificial Intelligence | |
監督 | スティーヴン・スピルバーグ |
脚本 |
イアン・ワトスン スティーヴン・スピルバーグ |
原案 | スタンリー・キューブリック(クレジット無し) |
原作 |
ブライアン・オールディス 『スーパートイズ』 |
製作 |
スティーヴン・スピルバーグ キャスリーン・ケネディ ボニー・カーティス |
製作総指揮 |
ヤン・ハーラン ウォルター・パークス |
出演者 |
ハーレイ・ジョエル・オスメント ジュード・ロウ フランセス・オコナー ブレンダン・グリーソン ウィリアム・ハート サム・ロバーズ ジェイク・トーマス |
音楽 | ジョン・ウィリアムズ |
撮影 | ヤヌス・カミンスキー |
編集 | マイケル・カーン |
製作会社 |
ワーナー・ブラザース ドリームワークス アンブリン・エンターテインメント スタンリー・キューブリック・プロダクションズ |
配給 | ワーナー・ブラザース |
公開 |
2001年6月29日 2001年6月30日 |
上映時間 | 146分 |
製作国 |
アメリカ合衆国 イギリス |
言語 | 英語 |
製作費 | $100,000,000[1] |
興行収入 |
$235,926,552[1] $78,616,689[1] 96.6億円[2] |
『A.I.』(エー・アイ、A.I. Artificial Intelligence)は、2001年のアメリカのSF映画。
地球温暖化が進んで一部の海に近い土地が沈み、妊娠・出産に厳しい許可制度がしかれ、人間の代わりに多くの資源を必要としないロボットが活躍する近未来。その時代に人間と同じ愛情を持つ少年型ロボットとして開発されたデイビッドは、彼を製作したロボット製造会社の社員、ヘンリーとその妻モニカの元へ試験的に送られる。夫妻には不治の病を持つ息子のマーティンが居たが、現在は冷凍保存で眠っていて目覚める保証はなく、実質的に子供がいないのと同じだった。
自分を起動させたモニカを永遠に愛するようプログラムされたデイビッドだったが、マーティンが奇跡的に病を克服して目を覚まし、退院して家に戻って来てしまう。モニカはデイビッドよりもマーティンの方に愛情を注ぐようになった。ある日マーティンとデイビッドが遊んでいる最中マーティンの生命に関わる事故が発生し、デイビッドは森に捨てられる。
デイビッドは、再び母に愛されることを目的に友達の玩具型ロボットのテディ、森で出会ったセックス・ロボットのジゴロ・ジョーとともに旅をする。途中でロボットを破壊して楽しむショーの見世物にされかけるなど様々なトラブルに遭いながらも、モニカを愛するようにプログラムされたデイビッドはただひたすらにその愛を求めて旅を続ける。『ピノキオ』に出てくるブルーフェアリーを信じ、自分もピノキオと同じように人間にしてもらえると夢を抱き、最後は海の中に朽ち果てた遊園地とブルーフェアリーの銅像を見つける。彼はそこで意識を失うその瞬間まで「僕を人間の男の子にして」とブルーフェアリーに望み続けた。
それから2000年が経ち地球は厚い氷に覆われ、人類は絶滅していた。海底で機能停止していたデイビッドは、より進化したロボットたちに回収され、再起動される。人間と接した貴重な記憶を持つデイビッドは彼らに歓迎され、願いを1つ叶えてもらえることになる。彼はモニカと過ごす事を望んだ。技術が発達しているその世界ではクローン技術も進歩していたが、再生されたクローンは長く生きられないため、たった1日しか一緒にいられないことを告げられる。それでも希望を捨てないデイビッドの願いを尊重したロボットたちは彼の願いに応え、デイビッドは母の愛にあふれた暖かな1日を過ごし、最後は人間と同じように眠るのだった。
役名 | 俳優 | 日本語吹き替え | |
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ソフト版 | TBS版 | ||
デイビッド | ハーレイ・ジョエル・オスメント | 常盤祐貴 | 上村祐翔 |
ジゴロ・ジョー | ジュード・ロウ | 大川透 | 成宮寛貴 |
モニカ・スウィントン | フランセス・オコナー | 紗ゆり | 玉川砂記子 |
ヘンリー・スウィントン | サム・ロバーズ | 井上和彦 | 寺杣昌紀 |
マーティン・スウィントン | ジェイク・トーマス | 村上想太 | 宮谷恵多 |
アレン・ホビー教授 | ウィリアム・ハート | 仲野裕 | 菅生隆之 |
ジョンソン=ジョンソン卿 | ブレンダン・グリーソン | 岩崎ひろし | 池田勝 |
テディの声 | ジャック・エンジェル | 大平透 | 銀河万丈 |
Dr.ノウの声 | ロビン・ウィリアムズ | 小川真司 | 岩崎ひろし |
スペシャリストの声 | ベン・キングスレー | 青野武 | 稲垣隆史 |
ブルー・メカ(青い髪の妖精)の声 | メリル・ストリープ | 高島雅羅 | 堀越真己 |
コメディアンの声 | クリス・ロック | ||
その他 | 幸田夏穂 坂東尚樹 井上倫宏 高山佳音里 木村雅史 井上文彦 後藤哲夫 森田順平 福田信昭 山像かおり 新垣樽助 石森達幸 浅野まゆみ 山下夏生 中村謙吾 有馬優人 高橋健太 内山昂輝 |
横堀悦夫 伊倉一恵 本田貴子 掛川裕彦 小形満 水野龍司 村治学 大家仁志 亀井芳子 佐々木睦 宮里駿 上野一舞 小坂明 関根直也 古澤龍之 浦山迅 渡辺英雄 武虎 朝倉栄介 勝杏里 堀江一眞 桐山ゆみ 深沢エミ |
- | ソフト版 | TBS版 |
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プロデューサー | 尾谷アイコ | 岡田裕克 |
演出 | 清水洋史 | 木村絵理子 |
翻訳 | 藤澤睦実 | 岸田恵子 |
編集 | オムニバス・ジャパン | N/A |
録音 | 田中和成 | |
調整 | N/A | 金谷和美 |
制作担当 | 梅原潤一 | |
制作 | ワーナー・ホーム・ビデオ 東北新社 |
東北新社 TBS |
最終盤に登場する半透明・人型のキャラクター(クレジットには「スペシャリスト(専門家)[3]」と表記)を宇宙人と誤解している評論も見かけるが、メイキング映像によるとあのキャラクターは、絶滅した人類の遺物であるロボット=デイビッドよりはるかに高度に進歩したA.I.という説明がなされている。スピルバーグ曰く「アナログはいつか滅び、デジタルが生き残る。なぜならデジタルは劣化しないからだ」。
「モニカのテーマ」と題されたエンディング曲でソプラノの歌声が聴ける。ヴォカリーズ(歌詞が無い)という形態はハリウッド映画の音楽では珍しいものである。ソロを担当したのはアメリカのソプラノ歌手バーバラ・ボニーである。ボニーが得意としていた役の一つに『ばらの騎士』(R.シュトラウス)のゾフィー役があるが、『ばらの騎士』のワルツ音楽も『A.I.』劇中で使用されている(下記)。R.シュトラウスは『2001年宇宙の旅』で知名度を上げた交響詩『ツァラトゥストラはかく語りき』の作曲者でもある。『ばらの騎士』の音楽を使うことはキューブリックの遺志だったが、どの場面で使うべきまでは伝わっておらず、最終的には音楽担当のジョン・ウィリアムズの独断でルージュ・シティに主人公達が入っていく場面で30秒間だけ使われた。
元々はスタンリー・キューブリック監督の企画であったが彼が死去したため、スティーヴン・スピルバーグによって監督された。ただしクリスティアーヌ・キューブリックとスピルバーグ本人によると、キューブリックは元々監督をスピルバーグに任せ、自身は製作に回る予定だったとのこと。ただスピルバーグはキューブリックに監督を任せると言われた時、一度断っており、その際はキューブリック自身が監督することになっていた。
キューブリックは1970年代より原作となる『スーパートイズ』の映画化の計画を持っていたといわれ、1982年に正式に原作者から映画化に関する権利を取得した[4]。
その後10年かけて脚本が執筆され[4]、1990年代初頭には、後に『ジュラシック・パーク』で少年ティムを演じたジョゼフ・マゼロを起用してキューブリック自らテスト撮影を行ったが(これは関係者が認めている)、本撮影に入る前に話が消滅。この時点で既にキューブリックとスピルバーグはこの映画の制作に関する話し合いを複数回持っていたとされる。キューブリックは製作に時間をかける監督であることから人間の子役では成長してしまうため、デイビッドを実際にロボットで造るという案も出ていた[4]。
1999年のキューブリックの死後、一度は企画が白紙になりかけるが、彼の遺族の強い希望でスピルバーグが製作を引き継ぎ、監督だけでなく自ら脚本を執筆することとなった。スピルバーグ自身はキューブリックの原案を変えたくなかったため、監督をする際キューブリックの遺志を尊重したという[4]。
ほかのスピルバーグ監督作品とはかなり異質である。スピルバーグが「母親と息子」という構図を用いること自体非常に珍しい。この脚本はオリジナルとは百箇所近くも異なっている部分があるにもかかわらず、オリジナルにある根本的なものは全く揺らいでいないと、製作総指揮のヤン・ハーランは絶賛している。本国のアメリカでは興行的に失敗に終わったが、日本では興行収入96.3億円と大ヒットを飛ばして製作費を楽々と回収した。これはアメリカでは難解な哲学映画としてマーケティングされたのに対し、日本では「母とロボットの愛」として宣伝されたことに由来する。この結果を受け、スピルバーグは日本のマーケット的価値をより重視するようになる(スピルバーグ製作の『硫黄島』2部作もその流れの中にあると言える)。2001年のアカデミー賞では視覚効果賞、作曲賞にノミネートされたが、いずれも受賞は逃がしている。キューブリックのファンからは「ラストシーンはキューブリックなら海底に沈んで機能停止した時点で終わらせていた」と批判されているが、スピルバーグ曰く「スタンリーの草案では2000年後の世界を描く展開も用意されていたため、あのシーンこそ私が映像化しなければならなかった」と語った[5]。
主演のハーレイ・ジョエル・オスメントの父親も出演していた。ただしハーレイとは別シーンでの出演で直接的な共演はなかった[6]。